元々私ははQuantsです。金融数理学が専門。1990年代はロンドンにてワラントのディーリングデスクでサポートしていた身です。
まぁ、専門といえば専門。ちょっとまじめに研究してみようかと思ってます。
eワラントはワラントとは別でカバードワラントという部類ですね。
そもそもワラントとは正確にはワラント債=新株引受付債券が原型です。
当時のエクイティファイナンスの手段としてよく使われていました。
似たもので転換社債というのがありますけど、これとの大きな相違は発行企業のバランスシートに現れます。
転換社債の場合は、転換すると今まで社債として負債だったのがいきなり資本になってしまうのに対し、ワラントは債券とワラント部分が切り離されますので、払い込みを受け、新株発行ということで資本が増えることになります。(社債は残るんですね。)
まぁ、低利で調達できる手段として、株が右肩上がりの時によく使われた手法です。
当時のロンドンではこのワラント部分のみがセカンダリーマーケットで取引されていたわけですね。
で、カバードワラントなんですが、これは企業が発行する物ではなく、別の会社が作り出したワラントです。
当初はスイスフラン建てのワラントを購入し、これをドル建てにする。つまり「カバー」する、ということからこの名称を言われていたのですが、そのうち人工的に作り出すワラントも指すようになりました。
つまり、ワラントと同じ値動きを提示し、裏ではそれをヘッジすれば良いわけです。
ワラントとオプションの大きな相違はワラントは発行物、オプションは売り手買い手の契約であるということ。
つまり、オプションは売り買いの相手がいれば、いくらでも発生するのですが、ワラントには数に限りがあります。
あと、徹底的な相違がワラントは買いからしか入れないと言うことです。
プットワラントありますけど、これも買うことしかできないですね。
そう、コール、プットの解説もしなければならないかな?
コールは「買う権利」、プットは「売る権利」ですね。
行使価格というのがあり、正確には
・○○円で買う権利
・○○円で売る権利
ということです。
あくまでも権利ですから、権利を使わなくてもいいのです。(行使しないということ。)
たとえば、1000円で買える権利(行使価格1000円のコールワラント)を買ったとして、対象株式の価格が1500円なら、その権利使いますけど、逆に900円だったら使いませんよね?
さて、eワラントですが・・・・
これってゴールドマンサックスの商品名ですね。
俗に言う「デリバティブ」というヤツです。
彼らが作り出した商品です。
ワラントは新株引受権ですが、この場合は彼らが勝手に作ってる訳なので、当然新株引受なんてありません。まぁ、オプションですね。
普通ワラントは行使されれば、株数が増えますので、ダイリューション(つまり、1株あたりの価値が希釈されること)が起きるのですが、eワラントではそれがないはずです。