そのころのPC(1980年代)はまだハードディスクなんてありませんでした。
皆、フロッピーディスクです。しかも5インチ。
そこに起動からすべてできるようにセットアップします。
Loaderから作るんですね。ある意味OSそのものです。
で、重要なのがコピープロテクト。
その当時、ファイラーというソフトがありまして、これはプロテクトはずしツールです。
これ、我々から見ると、むかつく存在でして。というのもファイラーに対応されてしまうと、いきなり売上げが減るんです。
印税で生活する身には死活問題です。
当時最もはやっていたプロテクトは、フロッピーディスクのある一部分にノンフォーマット領域を作る方法です。
つまり、データを書き込めない領域を作るわけです。
プロテクトチェックはその「書き込めない領域」を読みに行きます。
すると、当然読み出しデータが不安定なわけですね。何回か繰り返し、値が異なって返ってくるわけです。
で、その値が異なれば、「正」同じだったら「複製」と判断するわけです。
というのも、普通PCでフォーマットすると、その特殊領域は作れないのです。だから、これで判断出来ます。
でも、肝心のそのチェックプログラムが書き換えられてしまうと、チェックプログラム自体が動かなくなります。
これがファイラーです。
つまり、誰かがプログラムをダンプし、内容を解析、そのデータを書き換えるプログラムを作ってしまうわけです。
プログラムを暗号化するのは当時当たり前でした。
でも、結局その鍵は同じフロッピーディスクのどこかにあるのです。
なので、時間をかければ解析されてしまいます。
と言うわけで、その当時のゲームは初期ロットでプログラマーの売上げが決まるような時代でした。
しかし、正直頭に来ます。せっかく作ったプログラムなのに不正にコピーされてしまうわけです。
(という自分もコピーしたゲームで遊んでいたのですけど・・・・苦笑)
コピーだったらデータを全部消しちゃったらどうだろう?
いや、いっそのことハードウェアを壊しちゃったら?
実は、データを消すのは数バイトでできてしまうんです。つまりBIOSコールすれば、そんなもん。
ソフトでハードを壊すことも可能です。
フロッピーディスクを異常動作させればいいのです。
そんなのも数バイトでできちゃいます。
でも、「もし正規バージョンが誤動作したら大変だよね・・・」ということで踏みとどまりました。
もしコピーでも、途中まで普通に動き、メンバーの会話で
「おい、どうも様子が変だぞ・・・」というのを語らせる案が出ました。
(これ、やったかどうか記憶に定かではないんですけどね・・・・)
で、後になってよくよく考えてみたら・・・・
フロッピーのデータ消したりするのって、早い話ウィルスです。
そうOSレベルを書き換えちゃえば、そんなの簡単に作れるわけです。
もし、あのとき作っていたら、世界初のウィルスだったかもしれません。
(なんて、不名誉ですけどね)